「1495日の初恋」
好きなのに
上原くんが、ゆっくり振り向く。
距離が近くて、ギュッと身体が縮こまる。
「結、あのさ…。」
「ん?なに?」
名前を呼ばれて顔を上げると、至近距離で目があった。
上原くんは、口元に手を当て横を向く。
「あ、いや、その…結って、胸、ないよな。」
私の胸ー?
カーッと頭に血がのぼる。
「な…!いきなり、なに?バッカじゃないの!普通、そういうことは…!」
最悪最悪最悪!
私が叩くふりして、上原くんに詰め寄ると、ぐっと手首を掴まれた。
「結、違う。」
「もー、なによー!」
私は掴まれた手を振りほどいて、走り出す。
私はがむしゃらに走って走って…走ったつもりだったけど…。
すぐに、つかまった。
「ばか、なんで逃げんだよ。」
「に、逃げてなんか、ないっ!」
ハアハアと荒い息なのは私だけで、上原くんは涼しい顔。
「痛い、離して!」
私の手を掴む上原くんを見上げて、思いっきり睨んだ。
わざわざ、私をバカにするためにあんなところにいたなんて…