「1495日の初恋」
頬に添えられた手のあたたかさ。
握られた手の力強さ。
その手に促され、上原くんを見上げる。
私の頬から手を外し、自分の頭をゴシゴシ掻いた。
「 あのさ…。」
すこし困ったような表情で、ゆっくり話し始める。
「だから…。」
上原くんの纏う空気が、私を一気に緊張させる。
途端に意識し出した心臓が、壊れそうなほど暴れ出す。
こんなにドキドキしている。
だけど、あの言葉がひっかかり、私は未だにふてくされたままでいる。
「あのさ…。」
好きだから、悔しい。
素直になんか、なれやしない。
トゲトゲしい言葉しか出てこなかった。
「なによ…。」
「俺…。」
上原くんは、そんな私の空気を感じ取ったのか、手を口に当てて横を向いて黙ってしまった。
「そんな顔、すんなよ。」