「1495日の初恋」
こんなはずじゃなかった
上原くんは、黙ってしまった。
沈黙が辛い。
何を言われるんだろう?
さっきのあれより、嫌なことだったら…?
いろいろ考えると苦しくなって、わざと明るく振る舞った。
「綾香の胸って大っきいよね!」
完全な嫌味。
一度言い始めたら、言わずにはいられない。
「綾香と付き合ってるんだから、大きな胸が好きなんでしょ?」
本心じゃない。
そんなことが言いたいわけじゃない。
それでも、スルスルと口から滑り落ちる言葉は、上原くんの表情を見る間に曇らせていった。
「なんか、いやらしいよね。」
私の言葉に、上原くんが強く反応した。
握られた手は、乱暴に突き返される。
「ああ、そうだな。綾香のは触り心地いいからな。」