「1495日の初恋」
今日から、文化祭準備期間となった。
放課後、自分の担当場所に移動して、それぞれ作業をした。
私は教室の一角で、裁縫道具を広げて衣装を作り始めた。
裁縫は、昔から好き。
一枚の布から、全く違うものが生まれる瞬間。
自分がそれを創り出せるっていうことに、胸がときめく。
どんなふうにしようかとあれこれ考えていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。
「結、そろそろ帰ろうよ。」
「先に帰っていいよ。私、もう少しやっていくから。」
私はみんなの誘いを断って、黙々と衣装を縫っていた。
気が付くと、外は真っ暗。
時間は、6時を回っていた。
いけないっ!もう帰らなきゃ。
急いで帰りの支度をして、玄関まで急いだ。
途中、電気のついている教室の前を通る。
あれ?
一度通り過ぎたけれど、そっと戻って教室の中を見た。
やっぱり…上原くんだ…。
床に広げた大きな白い紙に、一人で向き合い、一心に絵を描いていた。