「1495日の初恋」
上原くんに見つからないように、そっと覗いてみる。
細かく描かれた線の一つ一つ。
色彩の豊かさ。
まるでそこに存在するかのように、丁寧に描きこまれた絵。
ああ、こんなに…
上原くんて、上手だったんだ…。
こんなにすごいんだ…。
紙の上に向けられている真剣な眼差し。
唇を少し尖らせながら、筆を動かしている姿。
胸がツーンとなる。
目を閉じて、感じる想い。
ああ、私…やっぱり…
上原くんが、こんなに好きだ。
心の奥から湧き上がる想い。
なぜだかわからない。
だけど、上原くんを見ていると、泣きそうになる。
もう、こうして見ているだけでいい。
もう、話なんかできなくたっていい。
それで充分。
ただ、こうして、あなたを見ていたい。
ただ、こうして、あなたを知っていきたい。
上原くんの横顔を見つめながら、そう思った。