「1495日の初恋」
一斉に紙を開く。
上原くんの分は、藤崎くんが開いた。
「じゃ、男子から番号言って。」
綾香は、私と美紀を引き寄せる。
そして、小さな声で「私に任せて」と囁いた。
綾香に任せる?
一体なにを…?
「俺、1番。女の1番は誰?」
私は、手の中の紙を見る。
私だ。
「はい」と返事をしようとした瞬間、綾香が声をあげた。
「1番は、美紀だよね?」
そう言って、美紀の背中を叩いた。
美紀は綾香を見て、「うん」と頷いた。
…え?どういうこと…?
手の中の紙を、咄嗟に握りつぶした。
「じゃ、藤崎くん、美紀をよろしくね。」
綾香は、美紀を藤崎くんの前に押し出した。
二人は照れた様子で、「よろしく」と言い合っている。
綾香は、私に耳打ちする。
「美紀は、藤崎のことが好きって言ってたじゃない?だから、いいよね。」
あー…そういうことか。
そう言えば昨日の夜、誰が好きかって話になって、美紀は藤崎くんだと答えていた。
あのとき綾香は、上原くんが好きだと言った。
私は、綾香と同じ人を好きだなんて言えず、「いない」と答えたんだった。