「1495日の初恋」
「上原くんの背景…すごいよかった。」
私は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、上原くんに向かって話し始める。
「書き直したお城も、汚れ隠しの小鳥も…みんなみんな素敵…。」
上原くんは、驚いた様子で私を見る。
「上原くん、すごく頑張ってたね。私も尊敬するよ。」
そうして私が笑うと、上原くんも照れ臭そうに微笑んだ。
「でも、ちょっとムカつく。」
「なんで?」
「教科書の落書きぐらいだと思っていたのに、あまりにも絵が上手すぎて。」
「おいおい、なんだなんだ?結は俺にケンカ売ってんのか?」
「違う、違うって!」
二人でケタケタと笑いあった。
運動会からずっとあった、心の中のわだかまり。
それはこの一瞬で、すっと消えてなくなった。