「1495日の初恋」

万年筆


駅前の大きな文具店に着いた。


ハアハアと荒い息のまま、店内に入る。
店員さんを見つけて、画材のある場所を聞いた。

2階の奥か。


私は階段を上って、画材のコーナーを目指した。

一番上の階段に足をかけたところで、身体がビクリとした。



上原くんが…いる。
画材のコーナーに。


そっと足音を立てずに、隣のコーナーにたどり着く。

棚の隙間から、上原くんの様子を伺った。

何を買いにきたのかな…。
やっぱり気になる。
かなり気になる。

上原くんは、いろいろな画材を手にとって、表示を見たり、書き味を試したりしている。


その中で、長く手に取って眺めていたものがあった。


万年筆だった。



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