「1495日の初恋」
何度もキャップをはずして、書き味を試していた。
結局買わずに元の場所に戻していたけれど、なんとなく名残惜しそうだった。
上原くんは、カラーペンを数本手に取ると、一階に降りていく。
すかさず私は舞い戻り、上原くんの触っていた万年筆を手に取った。
漫画用万年筆。
値段は1000円。
うっ…高い…。
今の私じゃ1000円は、高すぎる…。
どうしよう…。
でも、買ってあげたい。
えーい!買ってしまえっ!
私はその万年筆をぐっと掴んで、一階のレジに向かった。
「これ、プレゼント用でお願いします。」
小さな箱にいれて、きれいに包装してもらった万年筆。
喜んでもらえたらいいな…。
リボンのついた箱を胸に抱えて、弾む気持ちでうちに帰った。