「1495日の初恋」

綾香は、上原くんの欲しいもの、知っているんだろうな。

だから、ハグなんて言えるんだ…。

心がもやもや渦を巻く。

綾香と上原くんの抱き合う姿なんか、見たくない。





上原くんが、一つずつ開けていく。

どのプレゼントにも、嬉しそうにありがとうって言っている。


4つ目の包みを開けると、高そうなお財布が出てきた。


「ああ、これ、俺が欲しかったやつだ…。」


上原くんが、つぶやくように言った。

綾香を見れば、小さくガッツポーズをしている。


やっぱりそうか…。
ちゃんと知ってたんだ。


ちょっとだけドキドキした自分が、恥ずかしい。




そして、最後のプレゼント。
あれは、私の買ったもの。

上原くんは、箱を振っている。


何の音もしない。

なんだろうと、首をかしげながら包みを開けている。

私はその様子を、祈るように見つめていた。


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