「1495日の初恋」
好きだから分かる
「じゃ、万年筆って誰?藤崎でしょ?真面目だし。」
「なんだよ、俺じゃねーし!」
「じゃ、誰よ。」
イラッとしながら、こちらに視線を向ける綾香。
うわあ…言えるわけない…。
どうしよう…。
「あ、それ、俺!」
えっ、矢島くん?
「俺が選んだんだよ、万年筆。」
矢島くん…。
「なんだ、矢島かー。」
綾香のホッとした声が聞こえた。
「矢島ー!サンキュー!俺、これすごく欲しかったんだよ!マジで嬉しいよー!」
上原くんは、ピョンピョンと跳ねるように矢島くんに抱きついて、なんでわかったんだよ?って嬉しそう。
だけど、上原くんの嬉しそうな顔とは対象的に、矢島くんは淋しそうな顔をしていた。