「1495日の初恋」
「じゃーなー!」
「またねー!」
綾香の家を出て、帰る方向の違う三人と別れた。
矢島くんと二人で歩く帰り道。
上原くんと抱き合っていたときの、寂しげな表情が気になっていた。
「上原さんでしょ、万年筆。」
突然言い当てられて、身体がビクッとなる。
「なんで…?」
「そんなの、見てればわかるよ。」
そう言って、矢島くんは空を見上げた。
私は、下を向いた。
矢島くんは、私を庇ってくれたんだ。
気づいていたんだ…。
それなのに…。
矢島くんの優しさが伝わってくる。