「1495日の初恋」
「でも、俺も本気だから。」
空を見上げたまま、矢島くんは言葉を続けた。
「俺、上原さんが好きだよ。誰にも渡したくない。」
ドキンとして立ち止まる。
矢島くんが、私の前に来て言った。
「上原さんが、俺を好きになってくれるように、俺、頑張るから。」
びっくりして顔を上げる。
そこには、優しく微笑む矢島くんがいた。
「なんで…そんなに…。」
知らぬ間に涙が溢れて、頬を伝って流れていく。
「泣かないで。」
そうして強く抱きしめられた。
「今はただ、そばにいてくれるだけでいいから。」
矢島くんは、わかっているんだ。
私が、上原くんを見ていることを…。
「好きだから…。」
矢島くんに抱きしめられながら、心は複雑な想いに揺れていた。
もうすぐ12月になる。
夜の風は冷たくて、私の心をビリビリと破りながら吹き抜けていった。