「1495日の初恋」
「どこに行くの?」
「海、夏休みに行った海に行きたい。」
矢島くんは、あの日の自分に後悔していて、もう一度やり直したかったと告げた。
悪いのは私なのに…。
思い出すと、胸がチクリと痛んだ。
行き先は、夏休みにみんなで行った海。
電車でとなりに座る。
緊張しているせいか、何だか体が熱い。
「音楽聞こうよ。」
矢島くんは、イヤホンを片方私に差し出す。
いいよと遠慮しても、いいからいいからって、無理やり耳に入れられた。
矢島くんの耳と私の耳。
同じ音楽でつながった。
この曲いいでしょって、私の顔を覗き込まないで。
矢島くんには普通のことでも、私にとってはこんなことさえ初めてで…。
何だかすごく恥ずかしくて、音楽どころじゃなかった。