「1495日の初恋」
砂浜を走って競争した。
砂山を作って遊んだ。
なんだかとっても楽しくて、時間があっという間に過ぎていく。
このまま、矢島くんを好きになってしまえたら…。
ふとそんなことを考えた。
並んで歩く矢島くんを見上げる。
「どうかした?」
「ううん。」
私が見れば、笑って見返してくれる。
そんな優しささえ、苦しかった。
波打ち際で、波が来るギリギリをよけて遊んだ。
どんくさい私は波につかまり、靴が濡れてしまった。
あーあ、靴も靴下もビショビショだ。
靴と靴下を脱いで、裸足で過ごした。
午後になると風が出て、寒く感じた。
風が吹くたび体を縮めると、矢島くんが自分のコートを脱いで、私に貸してくれた。
いいよと返したが、俺は大丈夫だからと無理やり着せられる。
自分のコートの上から着ても、大きなコート…。