「1495日の初恋」
「ありがとう。」
矢島くんを見上げてお礼した。
「ううん、俺の方こそありがとう。今日は来てくれて、ほんとに嬉しかった。」
優しく返されて、なんて言っていいかわからなくなる。
矢島くんのコートを着ていても寒かった。
おかしいなあ…こんなに着ていても寒いなんて…。
「上原さん?」
矢島くんが、私の名前を呼んだ。
何だか遠くから聞こえる感じだ。
「上原さん、大丈夫?」
私のおでこに矢島くんが手を当てた。
「すごい熱!何で言わないの?」
熱?
ああそうか、だからずっと身体が…。
「ねえ、乗って。」
矢島くんが、私の前に背を向けて屈んだ。
「おんぶするから乗って。」
強い口調で言われ、私は矢島くんの背中にしがみつく。
前もここで倒れたんだっけ…。
あのときは、上原くんが見つけてくれた…。