微熱37℃





目の前の海に目を取られた。


この広い海を見ると何もかも逆流しそうになった。



【いつからそんな我が儘になったの?】


【…違う】



違う
違う
違う
違う



「――…私は悪い子?」



イラナイ子?



ツーッと目から涙が伝った。



「…ねぇ、」



ビクンッと肩が跳ね上がった。


当たり前だ。いきなり
話しかけてくるのだから。


恐る恐る振り返ると、
同い年くらいの男の子が立っていた。



「…泣いてるの?」



見られた…。


あまり人前で涙を見せたことがなかった。

たがら、異常に恥ずかしいさが込み上げてきた。



「…っ!」



そのまま何も言わずその男の子から逃げるように私は走り出した。



「…ちょっ」



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