微熱37℃





走って走って、いつの間にか見慣れた道が出て来た。


今日はよく走る日だ。



「…あ!いたぁ!サクヤちゃん」



顔を上げると目の前には、



「…千、さん」


「お父さんが『サクヤちゃんが出てった』って言うもんだから心配になっちゃったじゃない」



心配、してくれたんだ…。



「…すいません」


「ま!ちゃんと帰ってこれたみたいだし、何にもなくて良かったわ」



『さ、帰りましょ』千さんはそう言いながら私の右手を掴んで歩き始めた。



千さんの手は柔らかくて暖かかった。



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