微熱37℃
窓からほのかに海の匂いがした。
〝今日から此処が私の家〟
〝此処が…私の……〟
【いつからそんな我が儘になったの?】
ドックンと心臓が一気に早くなった。
「…や…」
頭に響いた声。
聞きたくない
聞きたくない
聞きたくない
とっさに両手で耳を
塞いだ。
…独りは怖い。
私は部屋を飛び出した。
階段を下り外に出ると水まきをしている雅人さんと擦れ違った。
「サクヤちゃん?
何処い…」
「…散歩行ってきます」
「サク…」
雅人さんの声を無視して私は走った。