House
Side 涼太
まだ、3時45分。
僕は川原で本を読んでいる。
リンさんはログハウスに行ってるし、麻人も川で泳いでいる。
あづささんは、僕よりちょっと離れた所で絵を描いているようだ。
皆、自分なりに楽しんでいる。
「…よーし!」
すると、あづささんが満足そうな笑顔でスケッチブックを見ていた。
「何を描いてるんですか?」
近くまで行って、声をかけてみた。
「あ、涼太君♪」
またニコッと笑ったあづささんの、手元にあるスケッチブックを覗く。
「これは…」
そこに描かれていたのは、川で泳いでいる人……たぶん、麻人だろう。
なぜ、こんな絵を描いたのか。
「見せれるような物じゃないんだけど……どうかな?」
どう?って聞かれても…
素直に上手だって言えない僕に腹が立った。
なんか最近おかしい。病気にでもなったかな?
「涼太君?」
「あ…いえ……いいと思いますよ」
そう言うと、また彼女は笑った。
その笑顔が凄く悲しい気持ちにさせた。