House
Side あづさ
もう22時になった。
リンさんと麻人は、テントでグッスリ眠っている。
あれだけはしゃいだのだから、疲れていたんだろうな。
私はなかなか眠れず、ぼーっと外で星を見ていた。
大自然の夜空は格別だった。
無数の星が綺麗に見えて、時折、流れ星が流れる。
星の形とか名前とか、よく分からないけど、自分で星座を作ってみたりした。
「あっ」
そう言えば…
昔の記憶がよみがえる。
「……あづささん?」
その時だった。
私の後ろには、涼太君がいた。
「涼太君…起きてたんだ」
涼太君はそのまま私の隣に腰を下ろした。
「星、好きなんですか?」
空を見ながら私に尋ねる。
「私のお兄ちゃんが、凄く好きだったの」
「お兄さん?」
本当に、優しい人だったな…
「かずやって名前なの。5つ上のお兄ちゃんだよ」
もしかしたら、家族の事を話すのは初めてかもしれない。