House




Side あづさ


もう22時になった。


リンさんと麻人は、テントでグッスリ眠っている。


あれだけはしゃいだのだから、疲れていたんだろうな。



私はなかなか眠れず、ぼーっと外で星を見ていた。


大自然の夜空は格別だった。



無数の星が綺麗に見えて、時折、流れ星が流れる。


星の形とか名前とか、よく分からないけど、自分で星座を作ってみたりした。



「あっ」



そう言えば…


昔の記憶がよみがえる。




「……あづささん?」



その時だった。


私の後ろには、涼太君がいた。



「涼太君…起きてたんだ」



涼太君はそのまま私の隣に腰を下ろした。



「星、好きなんですか?」



空を見ながら私に尋ねる。



「私のお兄ちゃんが、凄く好きだったの」


「お兄さん?」



本当に、優しい人だったな…



「かずやって名前なの。5つ上のお兄ちゃんだよ」



もしかしたら、家族の事を話すのは初めてかもしれない。




< 39 / 49 >

この作品をシェア

pagetop