House
今から5年前の夏。
その時、私は中学1年生だった。
お兄ちゃんは高校3年生で、親の影響もあり医学の勉強をしていた。
お父さんは内科のお医者さんで、お母さんは看護師。
お兄ちゃんは医者になるよう、お父さんに教育をされていた。
もちろん大学も、親に決められていた。
「かずや、来なさい」
お兄ちゃんが学校から帰ると、お父さんはお兄ちゃんを呼び出した。
「…これはどういうつもりだ」
お父さんが出したのは、半分以下の点数であるテストの束。
お兄ちゃんは下を向いたまま、ずっと無言だった。
「…いい加減にしろっ!お前はいつも、何を見てたんだ!!」
怒鳴り声が家中に響く。
それでもお兄ちゃんはビクともしない。
「これ以上…私に恥をかかせるな」
怒りの混じった声に、私は固まってしまった。