House
それから毎日、お兄ちゃんは部屋にこもって勉強をしていた。
夏休みもずっと、ずーっと…
ある時、私が一枚のチラシを持ってきた。
その内容は、『森の美術館』と言うものだった。
私は絵を書く事が大好きで、こういうのにも、凄く興味がある。
だけど、お父さんもお母さんも忙しそうで、私は半分諦めていた。
そして、夏休みが終わる頃に、兄が言った。
「あづさ、美術館行こう!」
突然の提案に驚いた。
「でも……お父さんにばれたら叱られるよ?」
お兄ちゃんは、外出禁止と言う事になっていた。
「大丈夫!そん時はそん時で、何とかなるさ」
ニッと歯を見せて笑うお兄ちゃんが、一瞬、神様のように見えた。