House
どうしても、忘れられない記憶がある。
あの日の映像が、私の中で映される。
それは、合格発表の1週間後だった。
「お兄ちゃん、ご飯だよー!」
部屋のドアを閉めたまま、お兄ちゃんを呼ぶ。
だけど、返事が返って来ない。
「…お兄ちゃん?」
その瞬間だった。
部屋の奥…いや、外からぶつかるような音がした。
「お兄ちゃん、入るよ!?」
私は慌ててドアを開けた。
しかし、そこにお兄ちゃんの姿はない。
ふと見ると窓が開いていた。
嫌な予感しかしなかった。
「あっ……」
窓から外を覗き込むと、1ミリも動かないお兄ちゃんがいた。
あまりの衝撃と襲ってくる恐怖心が私を混乱させ、その場に膝をついて倒れた。