House
気が付くと私は泣いていたようで、涼太君はそれを見守るかのように優しく背中をさすってくれた。
「あははっ…ごめんね、こんな話して」
無理矢理、笑顔を見せる。
涼太君は静かに首を横に振った。
「大切なお兄さんだったんですね」
涼太君の言葉に、また胸が熱くなる。
「僕、兄弟いなかったから羨ましいです」
何を察してくれているのか分からないけど、きっと慰めようとしてくれてるんだと思う。
「ありがとう…」
今の私にとってこれが、精一杯の言葉だった。