House
No.5
「あづさちゃん、また来てね」
美鳥さんと旦那さんが、手を振って私達を見送ってくれた。
あっと言う間に時間が過ぎて、少し寂しい気もした。
「ねえ、後ろ見てみて」
バックミラーを通して後ろを見るリンさんが、微笑みながらそう言った。
助手席から後ろを振り向くと、麻人と涼太君が気持ち良さそうに寝ていた。
「疲れちゃったのかな?…ぐっすり寝てますね〜」
自然に笑みがこぼれた。
「そおね〜。あづちゃんも寝てていいわよ。疲れたでしょ?」
リンさんが気遣って背もたれを少し倒してくれた。
「そうですね…じゃあ、ちょっとだけ」
私は、心地良いエンジンの音を聞きながら目を閉じた。