House
「眞田(さなだ)さん、涼太っスよ」
1番奥のソファに座っていたのは、ここのボスである、眞田さんだ。
「よく来たな」
「…はい」
とりあえず座れと席を用意してくれた。
「早速だが、昨日の報酬だ」
僕の前には、今までに見たことがない札束がある。
「どうした、いらないのか?」
「いえ…ありがとうございます」
…だめだ。
なぜか手が震える……もしかして、怖いのか?
これさえ受け取れば、それで済む話じゃないか。
それなのに、なかなか手を出せずにいた。
ードンッ!
「…ボス!大変です!!」
覚悟を決め、札束に触れようとした瞬間、いきなりドアが開いた。
「何の騒ぎだ。少しは静かにしておけ」
男と真逆に落ち着いた様子のボス。
「それが…他の奴らは全部、フライパン野郎にやられました…」
フライパン野郎?……どんなあだ名だよ。