House
「……本当は、僕の母さん病気なんだ」
「え?」
捨てたはずの家族……なのに、どうしてだろう。
あの日から、僕の生活は変わった。
僕がこのシェアハウスに来たのは、今年の春だった。
高校入学と同時にここへ来て、1ヶ月が経った頃、ある一通の手紙が届いた。
【涼太へ お元気ですか?私は今、○○病院にいます。でも、私は元気よ。
あとどのくらい生きられるのかは分からないけれど、叶う事ならまた涼太に会いたいです。
あの時の事、本当に後悔しています。
早く気付いてあげられればよかった……私は、母親失格ね。
今度会った時は、貴方に母親と認めてもらえるよう努力します。
本当にごめんなさい。由紀子】
今更……僕はずっとそう思っていた。
母さんは、本当に最低な母親だった。
僕は、父親が誰か分からない…どこの馬の骨かも分からない子供。
いつも、家には違う男を連れて来て、その男達は決まって僕に暴力を振るう。
それなのに……たとえあざが出来ても、母さんは僕を、気にかけようともしなかった。
僕が中3の時の男は、薬を勧めて来た。
それも、シンナーや覚せい剤。
僕は耐えきれなかった。
「僕、この家を出ます」
「えっ、冗談でしょう?」
母は笑っていた。でも、僕は本気だった。
ーバタンッ…
母さんはそんな僕を止めもしなかった。