サクセスラブを この手に
「え~っと18階ね。」

私はだたっ広いエントランスを歩いて

エレベーターが6基並んでいる奥へ向かった。

左に3基、右に3基あった。

左の一番手前のエレベーターに乗った。

ボタンを押すとドアが閉まった。

「あら、このエレベーターは直通なのね。」

ボタンを見たら、1~18階の間の階のボタンがなかった。

私は携帯を手に持ち、壁に寄りかかった。

今日は少し暑く、シフォン地のツーピースの下は

レースのビスチェだけ着ていた。

手に持った白いエナメルのバッグはブランドもので

フィアンセの幸二さんにもらったものだった。

小さめの扇子はいつもバッグのポケットに差し込んでいた。

このエレベーターは程よくクーラーが効いていたので

扇子をハタハタとあおぐ必要はなかった。

「4月なのに暑い日ばかり。これも異常気象なのかしら。」

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