サクセスラブを この手に
翌日のランチタイムは紘くんと一緒だった。

「紘くん、私、変?」

「いや、どうして?」

「皆が見るんですもん。恥ずかしくて。」

「新参者は大歓迎なんだ。上へ行こう。」

「うん。」

私は今日は黒のスーツではなく

パステルピンクのニットのアンサンブルに白いミュールをはいていた。

カフェテリアのカウンターに並んで進んだ。

変な視線も感じないで済んだし、声もかけられなかった。

よかった。昨日ほど目立たないみたい。

テーブルについてホッとしたのもつかの間だった。

「原田、彼女を紹介してくれよ。」

「今度マーケと飲みに行こう。」

席についた途端あちこちから声がかかった。

「わかったから静かにしてくれ。」

紘くんが回りに言ってくれて助かった。

私は窓側の方をチラッと見た。

杉浦社長が田原専務と食べていた。

彼は私には気づいてないようだった。

「舞、社長が気になる?」

「ううん、こんなに大きな会社だから、派遣が一人くらい増えてもいちいちご挨拶しなくていいのかと思って。」

「社長は何でもわかっている人だよ。輸入部に派遣が一人入ったことくらい報告されているはずさ。但し君が来ているとは思うまい。」

紘くんはにんまりしていた。

明日のランチも一緒に食べる約束をして私はデスクへ戻った。

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