【完】芸能人に、恋をした。
▽正直に話すとき
「いってらっしゃい」
「おう」
「気をつけてね」
あっという間にお昼がきた。
午後から取材が入っているという、相変わらず忙しい蓮くんにお昼ご飯を御馳走して
時間になった蓮くんを見送る。
「いってらっしゃいのチューとかないの?」
「え!?」
当たり前のように言う蓮くん。
あたしが困惑していると─。
─チュッ
リップ音をたてて、頬に触れた唇。
「いってきます」
蓮くんは、ニッと口の端を上げ去っていった。
あたしはしばらく頬を押さえたまま、動けなかった。