【完】芸能人に、恋をした。
華絵の小さな声ですら響く、静かな住宅街。
「なんで?あたしじゃ、ダメ?」
「………」
「絶対にあたしの方が、蓮のこと好きだよ」
縋(スガ)り付くように俺の胸で涙を流す。
そんな華絵の両肩を掴んで、体を離す。
「俺は、陽菜しかいらない。
俺が陽菜を必要としてるんだ。
一番好きな女と、一緒にいたい」
そう告げると、ボロボロと涙を流す華絵は
「わかった、バイバイ…」
そう言って去っていった。
──陽菜、早く会いたい。
こんなときに不謹慎かもしれないけど
それだけ、俺には陽菜だけだった。