クリスマス残夢
「ママにはサンタさんは来なかったよ、大人になると来てくれなくなるから」
そう、クリスマスプレゼントは子供と恋人たちだけの特権。結婚して家庭を持ったら、サンタさんなんて見向きもしてくれない。プレゼントなんてくれる人もいない。
「ええっ、 ママかわいそう、そうだ! 私のお菓子あげるね」
ぎゅうっと腕にしがみつく。優しい子になってくれたことが、何よりも嬉しい。
「ありがとう」
「うん、だって、ママのこと大好きだもん」
胸を熱くする言葉。
『大好き』と言ってくれるのは、子供しかいない。
私は、この子の母親なんだと実感させられる。子供たちのために、私は良い母親でなければいけないのだと。
決して、女であってはいけない。
職場の彼に夢を描こうとしていた愚かさに気づかされる。