クリスマス残夢
あなたの予想外の言葉と表情に、私の方が困惑してしまう。はっきり言って、あなたが喜んでくれているようには見えない。
さっきまでのドキドキが、違った感覚に変わっていく。こみ上げてくる気持ちは、不安でしかない。
あなたはボールペンを箱に戻し、蓋をして私に差し出した。
「でも、俺使わないからなあ……お前が使えば?」
いやだ、受け取りたくない。
急いで席を立った。
「そう、じゃあ私行くからね」
逃げるように玄関へ。
もう振り返らない。
絶対に振り返りたくない。
家を出て、一目散に駅へと向かう。
早く職場に行きたくて。
早く仕事を始めたくて。
仕事をしている間は、さっきのことを忘れていられるはずだから。
だけど、胸が痛い。
きっと、あなたはテーブルの上に置いたはず。
あなたのために用意したのに、あなたに突き返されたプレゼント。家に帰るのが怖くて堪らなかった。