ある日、いじめが始まった。
”げんげん”とは川原 元太。
私の2つ上で中学3年生の私の兄だ。
「あ、はい…そうです!」
「やっぱり〜!妹いるのは聞いてたけど見たの初めてっ!兄弟なのに全然似てないね〜!てかめっちゃ可愛いんですけど!」
「うち、げんげんとけっこー仲いいんよ〜。千秋ちゃん、よろしくね♪」
私の兄は人見知りの私と違って社交的で男女問わず友人が多い。
そんな兄を羨ましく思う反面、妬む気持ちもあったがこの時ばかりは兄の友人の多さに助けられたと思った。
「はい、よろしくお願いしますっ!!」
そしてその後は3年生の先輩達に兄についての質問責めにあったりしながらも、
楽しく会話をしてたくさん笑った。
よかった……先輩も皆いい人そうだし上手くやっていけそう!
練習は厳しくて大変かもしれないけど、このメンバーだったら大丈夫そう。
明日から本格的に練習も始まるだろうし……頑張るぞ!
私は拳をぐっと握る。
まだこの時はこれからどんな地獄が待ち構えているのか……
当然知るよしもない。