ある日、いじめが始まった。
私が壁打ちを始めてしばらくすると。
「今から10分間の休憩をする!」
そう叫ぶ平井の声が聞こえた。
その瞬間、外にいる1年生は卓球台確保のために体育館の中へ入ろうと慌てて走り出す。
「菜美、今日一緒にしようや!」
「いーよ!早く卓球台取りに行こ!」
一人、また一人と外にいる人が減っていく。
私は一緒に卓球をする人もいないし誰を誘う気にもならなかったので10分間の休憩を外で過ごすことにした。
周りを見たら人なんて男子が2人…くらいしかいない。
いーや、まだ入部して2日だし誰かと卓球台を使って卓球をするにしてもラリーなんてほとんど続かないだろうし……
そういい聞かせて私は花壇の段差に腰を下ろそうとする。
とその時。
私のもう少し遠くの方で同じように花壇に腰を下ろしている1年生女子の姿が見えた。
あれは、
私と同じ”Dグループ”って言われた堺さんだ………
堺さんは水筒とタオルをそばに置き、目を細めてじっと空を眺めていた。