ある日、いじめが始まった。
………これで最後にしよう。
これで反応が冷たかったら今日は誰に話しかけるのもやめよう……
私はそう心に決めゆっくりと堺さんの所へ歩いていく。
そして堺さんの目の前まで来た時、思い切って口を開いた。
「………よかったら隣、座っていい?」
顔では笑ってみるけど心は不安と恐怖でいっぱいだった。
どうしよう、
隣に座っていい、なんて…うざいかな?
お願い……冷たい反応しないで……
どくんどくんと早くなる心臓。
堺さんは私の方に顔を向けると
「うん、いいよ」
そう言ってにこっと笑ってくれた。
たった一言。
たったそれだけの言葉なのに。
私の心は大分救われた。
「あっ……ありがとう!」
私はゆっくりと堺さんの隣に腰を下ろした。
じりじりと夏の日差しが地面を焼きつける。
暑い風の吹く中、私達の間には少しの沈黙が流れた。
「……堺さんは体育館の中入らんの?」
最初に沈黙を破ったのは私だった。
大抵の1年生は休憩時間になったら体育館の中に入るのに。
堺さんが外にいることを選んだのはなぜなのか、少し気になったからだ。