ある日、いじめが始まった。



「別に羨ましくなんかないよ。こーゆう性格で損することだってたくさんあるし!」





堺さんはそう言って笑うけど。



私にも一人で平気って言えるような……そんな強さがほしかった。







「ね、ねぇ堺さんっ……!」




「あ〜堺さんじゃなくていいよ!私、美里っていうから皆からみっちゃんて呼ばれとんよ。そう呼んでもらえると嬉しいな」





堺さん…いや、みっちゃんは確かにそう言ってくれた。





「……ありがとう。じゃあそう呼ぶね、みっちゃん」





”さん”付けだとなんだかよそよそしい感じがするけど、ニックネームになった瞬間ぐっと距離が縮まった気がする。



私にはそれがとても嬉しかった。







「あ、じゃあ私は千秋っていうから千秋でもちーちゃんとかでも…自由に呼んでくださいっ!」



「自由に〜?だったら…千秋さん、とかでもオーケーってこと?」



「あー!”さん”付けは駄目!それはナシの方向でっ!」



「あはは、それじゃ自由じゃないじゃん! …まぁ千秋ちゃんって呼ぶね♪」






みっちゃんと喋るのは楽しかった。

そして何より気を張って喋らなくても大丈夫なのが嬉しかった。






これから先、皆に冷たくされてもみっちゃんがいてくれたら頑張れるかも……





そう思えた。






それから私とみっちゃんは休憩時間が終わるまでずっと喋っていた。








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