ある日、いじめが始まった。
「10分間の休憩終わりー!1年生、次はCグループ体育館の中に入りなさい」
平井の号令と共にささやかな楽しい時間は幕を閉じた。
「ねえ、みっちゃんー」
「ん〜?」
私はラケットを片手にみっちゃんの方を向く。
さっきの休憩時間にひとつ、どうしても気になることを聞くのを忘れていた。
「グループって何?」
始まりのミーティングの時から平井がずっと言い続けている”グループ”。
さっきから20分ごとくらいにAグループやBグループが順番に呼ばれて体育館の中に入っていく。
そのグループ制度がよく分からないのだ。
「あぁ、グループ制度のことね〜」
みっちゃんはちょっとややこしいかもしれないけど、と前置きすると全てを説明してくれた。
グループ制度は1年生にだけにある制度で1年生女子の場合、3人を1グループとし…計4つのグループをA〜Dグループと名付けて呼んでいるらしい。
そのグループのメンバーの決め方は卓球の技術の高低。
____つまり、卓球が上手か下手か。
卓球が強い人ほどAグループに入り、弱い人ほどDグループに入る。
Aグループに入れれば新人戦や今後のあらゆる大会でのレギュラーは確実、部長や副部長にもなりやすい。
そしてグループが順番に体育館の中に入っていくのは、1年生用に空けている卓球台を1グループごとにローテーションしながら使っているかららしい。