ある日、いじめが始まった。
外に出ると体育館の中とは違う暑さが込み上げてきて一瞬めまいがする。
容赦ない日差しが照りつけてくるので瞼の奥が痛い。
「外あっつ〜。中も暑いけど外も外で暑いねー!」
「ほんまにね!お茶がないと倒れるわ〜」
私達がそんな会話をしながら角を曲がろうとした時。
「あいつ下手くそすぎてイライラすんじゃけど!全然練習ならんしあいつと一緒に卓球したくないわ!」
そう叫ぶ高本さんの声が聞こえた。
瞬間、私の足はぴたりと止まる。
「春奈かわいそ〜。下手くそとグループ一緒にされてそりゃイライラするよね」
「てかあいつ入部したばっかのくせに調子乗りすぎ!腹立つ」
高本さんの後に続き皆が口々に悪口を言い合う。
これ、全部私のことじゃん……
皆私の悪口言ってるじゃん。
たしかに私は下手くそかもしれんけど、こんなに大勢の人に言って皆で悪口言い合うことないじゃんか……
それに調子乗ってるって何?
何した覚えもないんだけど……
角を曲がるタイミングを逃した私は皆の死角となってるこの場所から動くことができなくなってしまった。
「ほんま調子乗っとるよね!皆、あいつが卓球部に転部した理由聞いた?
卓球部が一番入りやすそうとか馴染みやすいスポーツだとか完全にうちらのこと、卓球部のことなめとるよね!こっちは必死で頑張ってるのにさ〜腹立つ!」
「しかもちょっと3年生の先輩達に気に入られたからってへらへら笑ってむかつく!」