ある日、いじめが始まった。
地獄の夏休み
先輩達の引退
ジリジリと耳障りな目覚まし時計の音で目が覚める。
うっすらと目を開けると時計は7時30分を指していた。
部活……行かないと……
私は重い体を引きずりながら支度に取りかかった。
部活は9時からだけど卓球台を出したりなどの準備があるので最低でも8時50分には体育館に着いてないといけない。
さらに1年生は先輩達より早く行かないといけないので目安の時間は8時30分。
これは私が卓球部に入部した初日に皆が教えてくれたことだ。
しかしこの日私は部活に行くのが5分ほど遅れてしまった。
時計はしっかりと8時35分を指している。
体育館前に行くと先輩はまだ来ていなかったものの、1年生女子の皆から冷たい視線が投げかけられる。
「入部したばっかでもう遅刻?やる気なさすぎー」
高本さん、侑佳、菜美を含む6人程度の輪の中からそんな会話が聞こえる。
ヒソヒソ話のつもりだったのか、別に私に聞かれてもよかったのかは分からないけど……それにしては声が大きすぎた。
”ごめん”
そう言ってもさらに悪口を言われるだけだろうと思ったので私は何も言わずその輪から遠い場所へと移動した。