ある日、いじめが始まった。
お昼時になると皆は観客イスに座りご飯を食べながらの試合観戦を始めた。
その様子を見て、私とみっちゃんも適当に空いているイスに座りご飯を食べ始める。
「………ねぇ、千秋ちゃん」
コンビニで買ったおむすびを頬張っているとみっちゃんが深刻そうな声で話しかけてきた。
顔を向けると声同様に表情も硬い。
「ん、どしたん?」
何か、悪いことなんかな?
何か嫌な情報でも入ってくるんかな…?
そう思うと恐怖が襲ってきて、私はそれを隠そうと必死で作り笑いをした。
みっちゃんがゆっくり口を開く。
「…………いや、何でもない」
「え?」
「ごめん、やっぱ何にもなかったわっ」
そう言って不自然な笑顔を向けた。
みっちゃんは笑ってるつもりなのかもしれないけどその表情は明らか苦しい。
何にもなかったなんて、絶対嘘だ。
「そ、そっか!何事かと思ったじゃん!」
私も合わせて笑う。
今これ以上追求してもみっちゃんは何も言ってくれないだろう。
だったらしつこく聞かない方がいい。
それにさっきの態度からしていい話でないのは確実。
そんな話、好んで聞きたくもなかった。
「うん、だから今のは忘れて!なかったことにしてっ!」
それからはみっちゃんと楽しく試合観戦し……その出来事のことはすっかり忘れていた。