ある日、いじめが始まった。
「まぁ詳しいことは外にいる1年に聞いてくれ」
平井の説明が終わると私は急いで倉庫からラケットを取り、体育館シューズから運動靴へと履き替える。
そして外へ出ると先程の説明通り多くの1年生…私の同級生が基礎練やら壁打ちやらを行っていた。
「あれ、千秋じゃん!どしたん、ラケットなんか持って!」
その声に振り向くと尾形 菜美(オガタ ナミ)が大きな目を垂らして笑っていた。
菜美は私と同じクラスで小学校を含めかれこれ3年連続同じクラス。
決して仲は悪くないけど会ったら挨拶を交わす、その程度の仲の友達だった。
ちなみに青東中学校(私の通った中学)に通う生徒の大半は青東小学校出身であり、中学受験や転校した人を除けばメンバーはほとんど変わらない。
だからいい意味で言えば皆顔馴染みなので安心だし話しやすい。
でも悪い意味で言えば環境が一緒なので変化がなく面白みがない。
……そう、だからなのかもしれない。
何の変化もなく面白みのない生活に水をさすように、
”いじめ” が私達の日常に浸透していったのは……