ことば紡ぎ

「園田さんは覚えてないかも知れないけど、俺は前に会ってるんだよ。」
「え。」
「まあ、あの時は俺すっごいデブだったからなぁ。
あれだよ。小学生の時の『ぶー太郎』」
「え。えぇえ!!」

小学生の時に確かにいたが、えらい違いだろう。
だって、私の覚えてるぶー太郎は、目ももっと小さくて顔だって一回り大きかった。
思ってる事が、知らず知らずのうちに出ていたらしく、「まあ、贅肉が多かったからなー、前が見辛かったなー。」などと呑気に答えている。

「そん時にさ、俺結構イジメられてただろ?」
「うん。」
「それでさ、園田さん言ってたじゃん。なんで泣いてんのか聞いた後に、ふーんて気の無い返事してさ、
『イジメられるのはあなたにも、原因があると思うわ。』ていって、強くなりたい。て俺が泣きながら言うとさ、今度はすっごい面倒臭そうに『わかったわ。まじないかけてあげる。』ていって、おでことおでこ当てて『つよくなあれ、つよくなあれ。』ていうんだよなー。」

けたけたと嬉しそうに笑う。
それ、その時妹も良く怪我して泣いてたからそのまじないをもじっただけなのだが。

「さらに、俺がつよくなる!て言うとさ『まあ、その贅肉ならせいぜいお相撲さんかしら。がんばって。』て言って颯爽とさってくんだよ。」

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