ことば紡ぎ
「…」
「それまで静かな子かと思ってたらあーだから、もう驚いた驚いた。けど、その時の園田さんが、すごい格好良かったんだよねー」
「はぁ?」

昔の素敵な記憶を思い出すように、うっとりとした顔をするが、有香は、意味がわからない。
どこをどう解釈すれば素敵な思い出になるのか。
ただの暴言を吐かれた記憶ではないだろうか。

「なんか、園田さんの言葉は胸にズバンッとくるんだよ。」
「それって、心が傷ついた音じゃないの?」
「はは。なに面白いこと言ってるの。」
「…大真面目なんですけど。」
「それに、園田さんの言葉には、裏がないじゃんか。
何気に色々気づけて優しい所とか小学生の頃からずっと変わってなくてさー」

いかにも不機嫌そうな顔を隠そうともしない有香を置いて、颯太はずっと楽しそうに喋り続ける。

「ずっと好きで感謝してきた相手が、今も変わらず優しくてそれもこんな美人になってたら、もうもっと好きになるでしょ。」
「…そうかしら、少なくとも私はこんな事ばかり言う私の事を好きなんていうのは、あなたみたいなもの好きぐらいだと思うけれど…それにあなたがいう程そんな、美人ではないわよ。」

彼に私はどういう風に映ってるのか、自分の顔を特別不細工とは思っていないが、美人な子なら他にもたくさんいる。
颯太は、「えー、そんなことないってー」言い返し、そしてそのまま繋げる。

「だから、俺は君のことが好きなんだよ。
俺と付き合ってください。」

優しい明るい笑顔に、一瞬言葉を失う。『おれ、つよくなる!』という顔とは少し違って見えた。
そんな事に少しどぎまぎしながら、目を逸らす。

「…はあ、そうなんだ」
「そうなんだよ。」

といったあと、少しもじもじしながらつけ加える。

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