Your smile once again
〈side 葵〉

ダンッ、ダンッ。


ボールが床に跳ねる音が体育館に響く。

外周が終わり、疲れきったあとでの体育館練習は辛い。

「葵、パス!」
「そのまま!」
「ナイッショー!!」

顧問の笛が鳴り、練習の指示が出された。


「葵、組もうぜ!」

洸が、声をかけてきて俺たちは一対一をすることになった。


「佐々木が珠理奈達に……」


俺はそこまで言って、言葉を止めた。

しかし洸は、聞こえなかったらしく、聞き返してきた。

「ん?」
「いや、何でもない」



洸は……。洸は、俺が欲しいものを全部持ってるんだ……。

「二本先取な!」
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