Your smile once again
「一発言ってやーーー」
「怜音っ!」


香澄の声に怜音の肩が揺れる。


「私たちが口出しできる問題じゃないよ」
「でも……」


怜音が涙目で下を向く。


私はその頭に手を置く。


「ありがとでも、大丈夫」 
「琴那ぁっ!」


怜音が私に抱きついた。


「洸、見てぇ見てぇっ!このピン止め可愛いでしょっ!」


その声に私は教室を振り向いた 。


奈々は掃除をしている笹原の隣で跳び跳ねていた。


その奈々がつけているのは、銀色のピンに星がついている、シンプルなピンだった。

私はハッとした。

慌てて自分の鞄を見た。


ーーーない。



あのピンは私が鞄につけていたピンだ。



私の中で何かが切れた。


ズカズカと、奈々に向かって歩いていき、ピンを奪い取る。


「……返して」
「ちょっと、琴那先輩何するんですかぁー?」


白々しい。


「いい加減にして」


私が奈々を睨み付けると、奈々は薄ら笑いを浮かべた。



「琴那先輩も洸の事が好きなんですかぁ?」
「はぁ?」
「奈々に洸をとられたくないから、そういうこと言うんじゃないんですかぁ?」
「奈々っ!やめろよ!!」
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