Your smile once again
「……なぁ、佐々木?」


「うん?」

人と人の間を縫うように進む。

笹原は避けるのが上手だ。
スイスイって進んでいく。


「佐々木はまだ、人が怖い?」

笹原が、今どんな表情を浮かべているのか、わからない。


何を思ってこの質問をしたのか。

「怖いよ。多分、これから先もずっと。
 
……関わりたくないの。信じたくない。」


「なんで?」

「……」

私は何も言えなかった。

その事を説明するには、私の過去を話すことになる。


怖い。

軽蔑されるんじゃないか。

笑う?

同情されるかもしれない。


絶対に嫌だ。

私は全然かわいそうなんかじゃない。



一番怖いのは、過去を知った笹原が私から離れていくこと。


中学の時の親友もそうだった。
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