Your smile once again
笹原の手が離れる。


私は、どうしようもなくイライラしていた。


笹原は、申し訳なさそうな顔で、私を見ていた。


私の肩は怒りで、小さく上下していた。


「どうして笹原が謝るの」


「奈々は妹みたいなものだから」


「いつまでも兄妹ごっこでもしてれば?」


「佐々木っ!」


笹原が怒ったように私を呼ぶ。


それさえも私はイライラしてしまう。


「私には関係ない。だから巻き込まないで。私は、あの子に付きまとわれて迷惑してるの」


「佐々木!!……奈々の事悪く言うなっ!」

笹原が怒鳴った。

怒る、というより小さい子供をたしなめる様な言い方だった。


私は驚いて肩をすくめた。

「ーーーッ!」

いつまでかばうつもりなの?

「うるさいっ!」

私も怒鳴り返す。


どうして?
いつもならサラッとかわせるのに。今日は、うまくいかない……。


「……帰る」
「佐々木っ」


私は、早くここから逃げ出したくて今度こそ走って渡り廊下を離れた。
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