Your smile once again
斉藤はため息混じりに言った。


「いーから。女は黙って送られろ」


その言い方が、すごく大人っぽいっていうか。


こいつも男なんだって思っちゃった。

私より数メートル先をすたすたと歩く、斉藤。


「ね、斉藤!!

ちょっと待ってよ。速いー」


「うるせぇ。黙ってついてこい」


前言撤回。

「怜音の家、こっち!!そっちじゃないって!」


斉藤の腕を両手でつかんで引く。


斉藤は、私の顔も見ずに方向を変えた。


「斉藤」
「……」
「斉藤ってば!!」
「お前、見ててイラつく」


斉藤の言葉に、喉がつまった。
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